古事記に登場する神々の謎【9】大宜都比売神

大宜都比売神・大気津比売神(おほげつひめのかみ)

この神は食べ物を生み出す神ですが、スサノヲが追放されたあとで、単独で紹介されます。

スサノヲがこの神に食べ物をもらおうとします。すると彼女は、鼻・口・尻から様々な食べ物を取り出し調理します。
これを見たスサノヲは穢(けが)して差し出すのだと思い、彼女を殺してしまいます。

ところがその遺体から農作物が生まれるのです。頭に蚕。目に稲の種。耳に粟。鼻に小豆(あずき)。陰部に麦。尻に大豆。といった具合です。

そこで(3)神産巣日神(かむむすひのかみ)が、それらを取らせて五穀の種にしたと記しています。

要するに五穀の種は、スサノヲがオオゲツヒメを殺したことにより出現し、全国に広がったのです。もしスサノヲが殺さなければ、彼女が独占的に提供するだけで、横への広がりはなかったということになります。

また刈り取らせて五穀の種としたのはカムムスヒであって、タカミムスヒではありません。これはタカミムスヒ・カムムスヒのところで書きましたが、タカミムスヒ=高天原系=皇室系(天つ神)、カムムスヒ=葦原中国系=出雲系(国つ神)の分類によると考えられます。

高天原系の神は、土にまみれて食料生産に携わるようなことをしない。汚れ仕事は葦原中国系=国つ神の仕事ということでしょう。
この段階で、明らかに支配者と被支配者の関係を暗示していると考えられます。

…つづく

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