古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【67】

―「神話部分」を読む ― 天照大神と須佐之男命 ⑫ 天の石屋戸 – 7 –

於是八百萬神共議而。
(ここに やほよろづのかみ ともにはかりて。)

そこで八百万の神々が相談して、

共議(ともにはかり)=命じられたのではなく、自発的に集まって相談した。

於速須佐之男命負千位置戸。
(ハヤスサノヲの命に ちくらおきどをおほせ。)

スサノヲに膨大な賠償の品を科し、

負千位置戸=解除(はらひ)を科することを意味する。
波良比(ハラヒ)という言葉は、二種類がある。
ひとつは、イザナギの阿波岐原での禊祓(みそぎ)のようなハラヒ、
もうひとつのハラヒが、ここの様に罪人に「物」を出させて賠償させることで、
「物」を「祓具(はらへつもの)」と言う。
だが、犯した罪を贖(あがな)う解除(ハラフ)も、穢汚(けがれ)を清める禊(みそぎ)も根本は同じ。穢れは汚いから罪となるからである。

要は、穢れも罪も「清」の反対の「濁」である。禊祓は「行為」で祓具は「物」だが、いずれも「濁」を清める目的だから根本は同じだということのようです。

千位置戸(ちくらおきど)
千=きわめて多い量。
位=座(くら)で、置座=物を置く場所。
戸=置座に置く、祓具(はらへつもの)を指す。
膨大な賠償品が置かれている状態。

亦切髭。
(また ひげを切り。)

そのうえ髭を切り、

及手足爪令抜而。
(手足の爪をも 抜かしめて。)

手足の爪をも抜いて、

ここの解釈は二通り。
一つはスサノヲの罪が余りにも重く、賠償品が足りなかったので髭や爪も奪った。
もう一つは、スサノヲが穢れているので身体に生えている物まで祓い捨てて清めた。
体罰の始まり説があるが、祓いであって刑ではないから誤りである。

神夜良比夜良比岐。
(かむやらひ やらひき。)

追放した。

・・・つづく

※注:
青字 … 本居宣長『古事記伝』より
赤字 … 古事記おじさんの見解です。

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