もしも古事記の神々が人間だったら・・・【11】

スサノヲ≪その三≫

父親から解放されたスサノヲは、アマテラスのところへ事情を説明に出かけます。
この部分はこれまで何度も説明していますので細かい内容は省略しますが、要はアマテラスが「天の石屋戸」に隠れてしまわなければならない程にスサノヲがとんでもない乱暴者だとしているのです。
そして有罪判決を受け、今風に言えば巨額の賠償金を払わされ、「髭を切り、手足の爪を抜かしめて」追放されたのです。

我々現代人には「髭を切り」の意味が分かりません。
スサノヲの時代には髭を伸び放題にしているのが「立派な男の証」だったのかもしれません。ですから髭を切られるということは、プライドを傷つける辱めだったのでしょう。
「手足の爪を抜かれる」のは、とんでもない苦痛を与える上に治るまでは歩いたり物を持つことが困難になるのですから、死刑の次に重い刑罰だったのではないでしょうか。
遠山の金さん風に言えば「むち打ちの刑の上に遠島を申しつける」といったところでしょうか。

この部分を単純に読めば「罪を犯し、重罰を科せられた」となるのですが、直後に食糧生産担当のオオゲツヒメを殺す場面が書かれています。
『五穀の起源』と言われている部分ですが、追放されたスサノヲがオオゲツヒメに食べ物をもらいに行くのです。
この部分も前に説明していますので詳細は省きますが、結論としてスサノヲがオオゲツヒメを殺したことにより五穀の種が世間に行き渡るようになったと書いてあるのです。

ここでも逆読みしますと、「高天原で独占されていた穀物の種が、スサノヲのお陰で広く行き渡るようになった」と伝えていることになります。
別な解釈として「高天原族(天津神)は食糧生産などという汚れ仕事はせず、支配される部族(国津神)が献上する物」があることは以前説明しました。

どのような解釈をするにしても、『五穀の種が庶民に行き渡るようにしたのはスサノヲだ』と古事記は明記しているのです。
支配階級である高天原族のところでとんでもない悪事を働き、肉体を傷つけられた極悪男が庶民に食糧の種をもたらした。これは、高天原族にとっての極悪人が、庶民にとっては救世主だということです。

・・・つづく

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