古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【75】

―「神話部分」を読む ― 須佐之男命の大蛇退治 ⑤

故是以其速須佐之男命。
(かれ ここをもちて そのはやすさのをのみこと、)

かくしてスサノヲは、

宮可造作之地出雲国。
(みやつくるべきところを、いずもの国に まぎたまひき。)

(クシナダ姫との)新居の地を出雲の国で探すことにした。

到坐須賀地而詔之。
(ここに すがのところに いたりまして のりたまはく、)

そして須賀の地を訪れた時に、

吾來此地。我御心須賀須賀斯而。
(あれ ここにきまして、あが みこころ すがすがしと のりたまひて、)

「この地に来て素晴らしい気持ちになった」と言い、

高天原の悪行で髭や爪までも差し出して贖罪したが清められず、オオゲツヒメを殺した。だがこれが善行の萌芽で、オロチを成敗して聖剣をアマテラスに献上したことで過去の穢れは全て失せ、身も心も清められた。

其地作宮
(そこになも 宮つくりて ましましける。)

そこに新居を建てて暮らした。

故其地者於今云須賀也。
(かれ、そこをば 今に すがとぞいふ。)

これにより、その地を今もスガと言う。

茲大神作須賀宮之時。
(このおおかみ、はじめ すがのみや 作らしし ときに、)

(スサノヲが)新居を建てようとした時、

ここで初めてスサノヲが大神と称されている。

自其地雲立騰。
(そこより、雲 立ちのぼりき。)

その地から雲が立ち上った。

御歌。其歌日。
(かれ、みうた よみしたまふ。そのみうた は、)

そこで(スサノヲが)歌を詠んだ。その歌は、

夜久毛多都。伊豆毛夜幣賀岐。
(やくもたつ。 いずも やへがき。)

盛んに湧き出(いづ)る雲が、八重の垣を巡らせるようだ。

都麻碁微爾。夜幣賀岐都久流。
(つまごみに。やへがき つくる。)

(私が)新妻を(人目に触れさせないように)隠す八重垣を作ろうとしている、

曾能夜幣賀岐袁。
(その やへがきを。)

まさにその八重垣のようだ。

スサノヲがこの歌を作ったことから、この国の名が出雲になった。

於是其足名椎神。
(ここに、かの あしなづちのかみを めして。)

そしてアシナヅチを呼んで、

告言汝者我宮之
(いましは、あが宮の おびとたれ、とのりたまひ、)

「お前は、我が宮の首長(責任者)になれ」と命じた。

且負名號稲田宮主須賀之八耳神。
(また、名を いなだのみやぬし すがの やつみみのかみ と おほせたまひき。)

また、イナダの宮主スガノヤツミミの神と命名した。

稲田=この地(須賀)の元の名

・・・つづく

※注:
青字 … 本居宣長『古事記伝』より

カテゴリー: 古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』, 連載を読む タグ: , , , , , , , , , , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。