古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【69】

―「神話部分」を読む ― 天照大神と須佐之男命 ⑭ 五穀の起源 – 2 –

而大氣津比賣自鼻口乃尻。
(ここに、おほげつひめ 鼻、口、また尻より、)

そこでオオゲツヒメは、鼻や口、また尻から、

種種味物取出而。
(くさぐさの ためつものを、取りいでて、)

品々の美味い食べ物を取り出して、
味物(ためつもの)=種々之珍味=美味(うましき)食物(おしもの)=おいしいもの

種種作具而進時
(くさぐさ 作りそなへて たてまつるときに、)

色々に調理して提供した時に、

速須佐之男命、立伺其態
(スサノヲの命 そのしわざを、立ちうかがひて、)

スサノヲは、その様子を隠れ見ていて、
立伺(たちうかがひ)=隠立(かくしたち)て、物の隙(ひま)などより窺(うかが)ひ観たまうなり=物陰から覗き見る様子

穢汚而奉進。
きたなきもの、たてまつると、おもほして、)

穢れたものを提供していると受け止めて、

乃殺其大宜津比賣神。
(すなはち、そのおほげつひめの神を、殺したまひき。)

オオゲツヒメを殺してしまった。

(スサノヲは)悪事に対する解除(はらひ)を既に終えているが、依然として悪心が清められてはいない。だが(オオゲツヒメを)殺したことで五穀の種が現れたのであることは『善は悪から生じる』道理である。かつて黄泉の穢れを祓うことでアマテラスなどの『善なる神』が出現したことと同じ道理である。

宣長は「悪事」=「善の萌芽」発想で終始一貫しています。

・・・つづく

※注:
青字 … 本居宣長『古事記伝』より
赤字 … 古事記おじさんの見解です。

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