宣長は『古事記』の記述を真実であったとし、古事記を貫く「やまとごころ」を是として、儒教的な「からごころ」を否としています。
つまり尊皇攘夷発想です。
宣長が『古事記』を高く評価したことにより、『古事記』に対する評価が大きく変わります。正史の『日本書紀』と違ってほとんど無視されていた古事記が、神典の評価を受けるようになったのです。
現在我々が手にする『古事記』は、宣長の古事記伝を基本としています。つまり宣長の目を通した『古事記』といえます。
これに対し、「原本は違っているのではないか」との見方もありますが、宣長が手にしていた原本類を読まないことには分かりません。しかしそれをすることができない今は、入手可能な『古事記』を読むしかありません。
ですからお好きな『古事記』を読み、自分なりの解釈をしていただけばいいと思います。
ところで、『古事記』はなぜ編纂されたのでしょう?
次回から、それを考えてみましょう。
…つづく