オオクニヌシ「根の国訪問」【2】

スサノヲは出てきて彼を見ます。
そして「これは葦原色許男(あしはらのしこを)というのだ」と言って彼を館に呼び入れ「蛇の部屋」で寝るよう命じます。

この葦原色許男とは、スサノヲから数えて7代目の子孫に当たるとされています。1代を20年としても120歳年下ですから、二人が同時代に存在することは不可能です。

当時は男女の結びつきが早く、各代の男性が15歳であったとしても、90歳年下です。これですと、論理的にはぎりぎりで可能かなと思えますが、現実的には不可能でしょう。

つまり、「オオナムチとスサノヲの間には血のつながりはなかった」と考えるのが妥当ではないでしょうか。

さて、「蛇の部屋」で寝るよう命じられたオオナムチですが、言われる通りにすれば蛇に噛まれてしまいます。

この蛇ですが、青大将やカラス蛇といった無毒のものではなく、マムシであったと考えられているようです。ですから噛まれれば命を落とします。
オオナムチは絶体絶命の状況に陥った訳です。

その彼を救ったのがスセリ姫です。
彼女は蛇除けの「比礼(ひれ・スカーフのようなもの)」を与えます。蛇が噛みつきそうになったら、それを三度振ると退散させる霊力を持つのです。

翌朝、オオナムチは何事もなかったように起きてきたのでしょう。
翌日はムカデと蜂の部屋に入れられたのですが、またしてもスセリ姫からムカデ用と蜂用の「比礼」を与えられて無事に出てきます。

この記述によりスセリ姫は「マムシ・毒虫除けの霊力を持つ」神様として慕われるようになります。

古事記おじさんのブログ-唐王神社

スセリ姫を祀る唐王(とうのう)神社
(鳥取県西伯郡大山町唐王)

…つづく

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オオクニヌシ「根の国訪問」【2】 への2件のフィードバック

  1. 24 のコメント:

    色許男は(しこを)と読むのでしょうか?
    醜女(しこめ)と同義語であれば醜い男の意味ですよね!? 見目麗しい色男(いろおとこ)を意味しているので、他の呼び方があるように思います。
    一方、【色男の語源・由来は歌舞伎の塗れば…】とされ、江戸時代以前は無かった表現の様子です。
    しかしながら、本稿にあるように古くから用いられた表現であり、大国主命こそ日本最初の色男と思っています。

    • 24 のコメント:

      PS.この頃の命はまさに[色男、金も力も、無かりけり]です。
      この状況で、ヤガミ姫にもスセリ姫にも、一言も発せず、一目でイチコロですよね。カミワザの神通力です。 是非あやかりたいものです。

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