もしも古事記の神々が人間だったら・・・【30】

タケミナカタ≪その二≫

なぜ、タケミナカタだけが戦い、そして敗れたにもかかわらず殺されなかったのか?

この点を考えるヒントとして「大国主の子供として書いているにもかかわらず、大国主の系譜には書かれていない」ところに注目しました。

古事記を編纂したのは、勝者である高天原勢力だということは間違いありません。
ですからあのような訳の分からない書き方を指示したのは、高天原勢力ということです。
ということは、あの書き方が高天原勢力にとって都合のいいものと考えることができます。あの書き方とは「息子としているが、母親を明確にしていない」ということです。
これは、高天原勢力にとって「母親を明確にすると都合が悪かった」と解釈できます。
大国主と関係がある女性で高天原勢力にとって都合の悪い女性が、一人だけいます。
以前に書きましたが、スセリ姫(=スサノヲの娘)です。
大国主の系譜である『大国主の神裔』には、正妻スセリ姫の名はありません。
これは彼女には子供が生まれなかったからということになりますが、同時に大国主の息子として明確に紹介しているタケミナカタとその母親の名前も無いということを重ね合わせますと、何かしら意図的なものが感じられます。

そこで「タケミナカタ=大国主とスセリ姫の子供」とするとどうなるでしょうか。
大国主の行動を時系列で考えますと、第一子は因幡のヤガミ姫との間にできた女の子(キノマタの神)か、スセリ姫との間のタケミナカタになります。

大国主はまだオオナムジの名前の頃、ヤガミ姫と婚約しています。
そのあとでスセリ姫と出会い、結ばれてから駆け落ちします。
この時にスサノヲから婿として認められ、大国主を名乗るように命じられました。
大国主となったオオナムジはヤガミ姫を因幡から出雲に呼び寄せ、ミイ(キノマタ)の神が生まれています。(実は、ヤガミ姫もミイの神も『大国主の神裔』に書かれていません)
その時の大国主に、スセリ姫との間に子供がいたとの記述もありません。
第一子はこのどちらかだったはずですが、書かれていません。

古事記の文脈からすれば誰にでも分かることを書いていないということは、やはり何らかの意図があったのでしょう。

・・・つづく

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もしも古事記の神々が人間だったら・・・【30】 への6件のフィードバック

  1. 24 のコメント:

    24の勝手な推測では、タケミナカタ命の母神は下照売命と考えています。タギツヒメ命の孫であり、宗像神と繋がります。父神も天照大神命や高木神の信頼の厚かった天若彦命となります。よって、タケミカヅチ命に劣らず高貴な血筋だったので、見逃してもらえたのではないでしょうか!?
    母神が高志のヌナカヒメ命とは逃げたさきの地理的推測と思いますが、西から軍勢が押し寄せてくるので東へ向かったのだと思います。

    • 古事記おじさん のコメント:

      24さん、ありがとうございます。

      そのようにも考えられますね。

      ところで、アメノワカヒコは高天原の有能な若者ではありますが、
      高貴な血筋としては紹介されていません。

      しかも「出雲に寝返った裏切り者」かどうかを試そうとして、
      高木の神の放った矢が刺さり死んでいます。
      「裏切り者」でなければ矢は刺さらなかったはずですから、
      あの場面の表現では、明らかに「裏切り者」です。

      そのような者の息子を、高天原が助命したのでしょうか?

  2. 24 のコメント:

    コメントありがとうございます。24の推測では、タケミナカタ命は大国主命の孫になってしまいますが、実娘の下照売命の子供として家督を継ぐ位置にいたと思います。父神系が高天原から葬式に来たことを考えれば、感情移入があり生き延びることができたのではないでしょうか?(孫だったので、息子として記載がなく、家督候補一位の言代主命が負けたので、慌てて孫の名を告げ事なきを得ようと思ったのでは)
    また、下照売命の兄神アジスキタカヒコネ命も上賀茂神となる重要な役割を担います。これは、下照売命が天孫降臨前の唯一のアマツカミの家系(宗像)であり、二つの世界を繋ぐ重要な血筋出会った為ではないでしょうか?

    • 古事記おじさん のコメント:

      24さん、ご返信ありがとうございます。

      私はタケミナカタは大国主とスセリ姫の子供だったと考えています。
      ですからスサノヲの孫となります。
      祖母が誰であったかは、スセリ姫の母の名が伏せられていますから分かりません。

      高天原としては、そのような血筋のタケミナカタは殺したかったはずです。
      しかしスセリ姫が、「彼を殺せば、西日本に点在する親スサノヲ勢力に檄を飛ば
      して反高天原闘争を主導する」
      と圧力をかけたのではないでしょうか。
      彼女が本気で動けば、出雲の戦いを終えたばかりの高天原はたとえ勝ったとしても
      大きな被害を受けます。

      ならばスセリ姫を殺せばいいようなものですが、そうすればもっと大きな混乱が
      すぐに生じます。
      高天原の軍事力が相当に疲弊していたことは、神武の代になるまで東征が実行で
      きなかったことから分かります。

      この辺りのことは、『古事記外伝―イズモ・クロニクル―』に小説として書いていま
      すので、時間があれば読んでみてください。

      • 24 のコメント:

        24です。
        毎度、丁寧なお返事をいただきありがとうございます。掃討がbestでないとの考えに共感します。古事記おじさんの本も購入して読まさせていただきます♪
        折角、国を譲り受けたのに、出雲を恐がり、猿田彦命の指示する高千穂に天下ったニニギ命の弱腰は、貴殿の推理を裏づけしています。出雲、宗像、大和、伊勢連合勢力は、敵地の熊蘇に高天原勢を送り込んで、ほくそ笑みをしたことと思います。
        誰も聞いてくれる人がいないので、つい勝手なことを書いてしまい申し訳ありません。

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