黄泉比良坂（よもつひらさか）【２】

・・・そこで彼が目にしたのは、とんでもない光景でした。体中に蛆がたかり、頭や手足に８種の雷神が取り付いていたのです。

驚き恐れたイザナギは、逃げ戻ろうとします。
これに気付いたイザナミは「私に恥を掻かせた」と怒り、黄泉国の醜女（しこめ）に追いかけさせます。

イザナギは髪に付けていた黒い蔦の飾りを投げ捨てます。するとそれがヤマブドウの実になりました。それを醜女達が食べている間に逃げますが、食べ終えた醜女達は、また追いかけてきます。

今度は櫛の歯を折って投げ捨てますと、筍（たけのこ）が生えてきます。彼女達がこれを食べている間に更に逃げますが、イザナミは、８種の雷神に千五百人もの黄泉国の兵士を率いさせて追わせます。

イザナギは十拳（とつか）の剣を抜くと、後手に払いながら必死で逃げます。この後手に払った場所と伝わっているのが松江市八雲町日吉の剣山（つるぎやま）です。

・・・つづく