古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【64】

―「神話部分」を読む ― 天照大神と須佐之男命 ⑨ 天の石屋戸 – 4 –

集常世長鳴鳥令鳴而。
(とこよのながなきどりを、つどへて なかしめて。)

鶏を集めて鳴かせ、

取天安河之河上之天堅石。
(あめのやすのかはの かはらの あめのかたしはをとり。)

天の安河の上流から硬い石を集め、
鍛冶に使用する金床になる石を集めた。

取天金山之鐵而。
(あめのかなやまの かねをとりて。)

天の金山から鉄を採取して、
宣長は黒金で間違いないとしていますから銅ではなく鉄ですが、砂鉄か鉄鉱石かは不明です。天の金山が、高天原の山なのか葦原中国の山なのかも不明です。

求鍛人天津麻羅而。
(かぬち あまつまうらを まぎて。)

鍛冶師のアマツマウラを捜して、
鍛冶師のマウラを捜したのは、何を作らせるためだったのか?彼は「矛」つまり武器職人であるから「矛」なら納得できる。だがここで「矛」が紹介されていない。考えられる点は、後で出てくるウズメが踊る時に「矛」を手にしていた可能性である。

科伊斯許理度賣命令作鏡。
(いしこりどめのみことに、おほせて 鏡をつくらしめ。)

イシコリドメに命じて鏡を作らせ、

科玉祖命令。
(たまのやのみことに、おほせて。)

タマノオヤに命じて、

作八尺勾璁之五百津之御須麻流之珠而。
(やさかの まがたまの いほつのみすまるのたまを つくらしめて。)

たくさんの勾玉で、長い玉の緒を作らせた。

召天兒屋命布刀玉命而。
(あめのこやねのみこと ふとたまのみことをよびて。)

アメノコヤネとフトタマを呼んで、
天兒屋命の意味は、招祖泥(をきおやね)。招(をき)の「を」を省き「き」をつづめて「こ」と読む。祖(おや)は「や」と読み、泥(ね)は尊称。
大御神を「招き」「奉る」立場だったからこのような名が付けられた。

伊勢神宮内宮の宮司家の祖がアメノコヤネである理由が分かるような気がします。
布刀玉命=名前に玉が付いている理由がよくわからない。

内抜天香山之眞男鹿之骨抜而。
(あめのかぐやまの まをしかの かたを うつぬきに ぬきて。)

アメノカグヤマの雄鹿の肩の骨を抜き取り、
この山は天上の山だから、大和の香山ではない。
古代のこの国は、鹿の肩骨を占いに使用した。亀の甲羅を使うようになったのは、中国の情報が入ってからのことである。

取天香山之天波波迦而。
(あめのかぐやまの あめのははか をとりて。)

アメノカグヤマの朱桜(かにばざくら)を取り、

令占合麻迦那波而。
(うらへ まかなはしめて。)

(鹿の骨を桜の皮で焼いて)占った。

・・・つづく

※注:
青字 … 本居宣長『古事記伝』より
赤字 … 古事記おじさんの見解です。

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