古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【63】

―「神話部分」を読む ― 天照大神と須佐之男命 ⑧ 天の石屋戸 – 3 –

故於是天照大御神見畏。
(かれここに、アマテラス大御神 見かしこみて。)

これを見たアマテラスは恐怖心を抱き、

天石屋戸而刺許母理坐也。
(あめのいはやどを たてて さしこもり ましましき。)

天の石屋の戸を固く締めて籠ってしまった。

閇=古代、通常は戸を傍らに置いておき、閉めるときにそれを移動して立て塞いだ状態を表す。

天石屋戸=必ずしも実際の岩窟ではない。石は堅固を意味するだけであって、普通の御殿をこのように言っただけである。

私も宣長の言う通りだと考えていますが、高千穂や伊勢の「天の石戸」の有難味が無くなりますね。もっとも高千穂では地元の人が「鎌倉時代の創作」だと言っていますから問題なしでしょう・・・。

爾高天原皆暗。
(すなはち たかまのはら みな暗く。)

これにより高天原は真っ暗になった。

葦原中国悉闇。
(あしはらのなかつくに ことごとに くらし。)

葦原中国も暗黒に覆われた。

因此而常夜往。
(これによりて とこよゆく。)

これにより永遠の闇が続いた。

於是萬神之聲者狭蠅那須皆満。
(ここによろづの神の おとなひは さばへなす みなわき。)

そしてあらゆる邪神の声が、夏頃の蠅の唸りのように全世界に湧き満ち、

萬妖悉發。
(よろづのわざはひ ことごとに おこりき。)

あらゆる禍が一斉に発生した。

是以八百萬神於天安之河原神集集而。
(ここをもちて やほよろづのかみ あめのやすのかはらに かむつどひつどひて)

かくの如き状態になったので、あらゆる神が天の安河の河原に自発的に集まり、

高御産巣日神之子思金神令思而。
(たかみむすびのかみの みこ おもひかねのかみに、おもはしめて)

タカミムスビの息子のオモイカネに策を考えさせた。

・・・つづく

※注:
青字 … 本居宣長『古事記伝』より
赤字 … 古事記おじさんの見解です。

カテゴリー: 古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』, 連載を読む タグ: , , , , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。