もしも古事記の神々が人間だったら・・・【18】

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スセリヒメ≪その五≫

琴の音で目覚めたスサノヲですが、あちこちに結びつけられた髪の毛をほどくのに手間取っている間に、二人はどんどん逃げて行きます。
黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追いかけますが、二人との距離を縮めることはできません。ここは現在の島根県松江市東出雲町です。
ここでスサノヲは追うことをやめ、オオナムジに声をかけます。
「その武器で八十神を打ち破って追い払い、大国主神(=王)となって、また宇都志国玉(うつしくにたま)神となり=国を作り、私の娘スセリ姫を正妻とし、宇迦の山(現在の出雲市平田町から北東方向の山並み)の麓に立派な館を建てて暮らせ」
スサノヲはここでオオナムジに「王になれ」と命じ、娘婿と認めたのです。
ですからこのときから、オオナムジは『大国主=王』と呼ばれるようになるのです。

スサノヲの言葉ですが、支配者になる筋道を教えています。
(1)八十神を成敗して自分が支配する足場を築け(=自力で八十神を打ち破る)
(2)周辺一帯の支配者となれ(=地域をまとめたことを住民に認められて王となる)
(3)その地域の支配者だったスサノヲの娘婿となる(=スサノヲの承認を受けた証明)
(4)宮殿を造る(=「支配者として腰を据える」との意思表示)

古事記は、オオナムジがスサノヲに言われた通りに国造りを始めたと書いています。
つまり(1)(2)の実行です。
ですから読者は、(3)(4)も実行されたと思いますが、それは書いてありません。
しかし直後に、因幡で婚約したヤガミ姫を呼び寄せたお話が続きます。
そこに「本妻のスセリ姫」と書かれていますから、(3)(4)も実行されたのだろうと思ってしまいます。

ヤガミ姫が呼び寄せられ、結婚した場所は現在の出雲市斐川町直江です。
彼女はそこで子供を産むのですが、「スセリ姫の嫉妬」を恐れ、子供を直江に置き去りにして里に帰ったと書かれています。
ここから「スセリ姫の嫉妬深さ」が強調されるのですが、大国主が(4)を実行していればスセリ姫は十数キロ離れた宍道湖対岸の島根半島宇賀にいたことになります。
当時は一夫一婦制ではなく、男性も女性も重婚は当たり前だったはずですから、当時の男女には現在の我々が抱く嫉妬心などなかったのではないでしょうか。
一緒に住んでいたのなら兎も角、往復するのに一日かかるようなところにいる相手に嫉妬するとは思えません。
でも古事記は、そのあとにもスセリ姫の嫉妬深さを強調しています。
大国主が妻の嫉妬深さが嫌になって家出を実行する場面までも書いてあるのです。
これは以前に書きましたが、家出をしようとする夫を酒と色仕掛けで引き留めたと書いてあるのです。
なぜかしら、古事記はスセリ姫を「嫌な女」に仕立てようとしているように思えてなりません。

・・・つづく

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