いよいよクライマックスの「国譲り」が始まります。
冒頭、アマテラスが「豊葦原(とよあしはら)の千秋長五百秋(ちあきながいほあき)の水穂国(みずほのくに)は、我が御子(省略)忍穂耳(おしほみみ)命の知らす国なり」と言ったと記されています。
つまりアマテラスは「豊かに開墾されたA国は、私の子供のオシホミミが統治する国だ」と言ったのです。
その「A国」とは、「出雲の国」です。
出雲の国は、スサノヲがオロチを退治して平定し、娘婿の大国主が牛馬畜産・農林業を普及させている、豊かで住みやすい地域になっていたのでしょう。
そこをアマテラスは「あそこは良いところだから、息子に上げちゃお」と言い、実行しようとしたのです。
何という身勝手!
言うのは勝手ですが、言われる方からすれば「とんでもない話」です。
母に言われたオシホミミは「出雲の国」に向かいますが、出雲に住む者達は拒否します。当然のことですよね。
オシホミミは途中で引き返し、「大騒ぎしている、どうにかしてよ」と母親に報告します。『母親の指示で出かけてみたら、反対騒ぎの気配を感じて飛んで帰った』ということでしょうね。
そこで、高御産巣日(たかみむすひ)の神とアマテラスは、八百万(やおよろず)の神に、会議の招集をかけます。
タカミムスヒは、「天地の初め」で紹介しましたが、最初に現れた独神(ひとりがみ)で大和の祖神とされている神です。高木の神とも称されていますが、場面によってはアマテラス以上の権力者に思える部分があります。
会社で言えば、アマテラスが社長で、タカミムスヒは会長のような感じでしょうか。
でもこの二人の関係はどこにも紹介されていません。