オオクニヌシ「因幡の白兎」【5】

因幡の白兎の物語は、ワニをだまして皮を剥がれた兎を、更に苦しめた兄弟達と助けたオオナムチの構図になっています。

しかし古事記の著者が目指したのは、溢れるエネルギーを見境なく発散させた若者達と自制心を持って行動したオオナムチを対比させて、オオナムチの高潔さと知識(兎の怪我を治した)に対する賞賛だったのではないでしょうか。

オオナムチの言葉に従い傷の癒えた兎は、お礼に「兄弟達は選ばれず、あなたが選ばれる」と予言します。

古事記はこの舞台を「気多の前(けたのさき)」と記しています。
鳥取県ではその場所を、鳥取市白兎の白兎神社前に広がる白兎海岸としています。

しかし厳密に言いますと「けたのさき」は、現在の青谷町青谷にある長尾鼻という岬なのだそうです。

この物語にどちらの場所がふさわしいか、直接現場に立って判断するしかありません。

白兎神社の前には「道の駅」があり、白兎の物語で白兎神社を盛り上げようと熱くなっています。兎の予言を「縁結び」と解釈し、「白兎神社=縁結び」を大々的にアピールしています。

兎!兎!と騒いでいるにもかかわらず、周辺に本物の兎の姿がありません。道の駅の中に「駅長」と称する兎が一羽いるだけです。

先日出かけた際に、神社近辺に「兎牧場」でもつくったらどうですかと振興会の人に話しました。「それは面白い」と仰ってましたから、近いうちに出現するかも知れません。

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