もしも古事記の神々が人間だったら・・・【27】

≪アジスキタカヒコネⅠ≫

アジスキタカヒコネは、神話物語部分ではアメノワカヒコの葬儀の場面に突然登場してどこかへ消え去るだけです。
でも大国主の血筋紹介である神裔(しんえい)の一番初めに、タギリ姫との間に出来た第一子として紹介されています。
既にご紹介していますが、タギリ姫はスサノヲとアマテラスの娘です。
ですから古事記に記される大国主の高天原系の妻達の中では、最も身分が高い女性です。
つまりアジスキタカヒコネは、大国主の第一継承者だったということでしょう。

ところが、国譲りの最終場面で大国主の息子達として出てくるのは、コトシロヌシとタケミナカタだけです。
この理由は(以前にご紹介しましたが)アジスキタカヒコネの子孫である大神山神社の宮司さんによれば「妹婿の葬儀のあと四国へ行って亡くなっていた」からだそうです。
古事記にそのことが書かれていないのは、高天原側もそれを承知していたということになります。
ならばもう少し書きようがあったはずですし、無視することもできたのではないかと思われますが、あのような扱いですませた背景にはそれなりの理由があったようです。

このように感じるのは、出雲国風土記での彼の扱いです。
出雲郡(いずものこほり)の社(やしろ)紹介に「阿受伎社(あずきのやしろ)」がありますが、これは現在の阿須伎(あすき)神社=出雲市大社町遥堪(ようかん)です。
この神社はアジスキタカヒコネを祀っていますが、境内に遙拝所があります。
そこから弥山(みせん)山頂を拝むようになっているのですが、山頂に祀られているのはスサノヲだそうです。
アジスキタカヒコネはスサノヲの孫ですから、遙拝所があっても不思議ではありません。
でも国譲りの流れなどを考えると、それだけではないような感じがします。

・・・つづく

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