古事記おじさんの『21世紀の視点で古事記を読む』【11】

―「序」を読む ― ①

<書店には様々な古事記がありますが、ここでは『古事記 倉野憲司校注(岩波文庫)』の読み下し文と原文を原書とし、『古事記伝 本居宣長撰 倉野憲司校注(岩波文庫)』を副読書とします。>

どのような書物でも、著者(編纂者)は目的を持って作りますが、国の歴史を綴るとなれば尚更です。
書物の、製作・編纂の目的や内容の概要を書いたものが「はじめに」とか「序」です。
既に述べましたが、古事記は上巻(かみつまき)・中巻(なかつまき)・下巻(しもつまき)の三部構成になっており、上巻の冒頭に「序」があります。

原文に小見出しはありませんが、倉野氏は分かり易いように以下三段に分けています。

第一段「稽古照今」
第二段「古事記選録の発端」
第三段「古事記の成立」

第一段は、古事記全文の内容を簡潔に紹介した上で、「誰でも先祖の生き方を模範として、心や世の中の乱れを正そうとしてきた」と締めくくっています。
この締めくくりが「稽古照今=今に照らして過去を考える」ということで、歴史書の重要性を説明しています。

第二段には、歴史書を編纂する理由が書かれています。
要約しますと以下になります。

『天武により、戦乱が終息し平和が訪れたので、天武が最高位(40代天皇)に就いた。天武天皇は、風紀を整え、徳政を広めた。(=治安を安定させて暮らしよい世の中にした)
それだけではなく彼は、広い知識を持ち、歴史に精通しており、清らかな心で(=公正な目で)未来を見据えている。
その天武天皇が「各家々に伝わる系譜や伝承に、事実とは違う点が多々あるようだ。ここでそれを修正しておかなければ、ほどなく正しい内容がわからなくなってしまう。天皇家・各部族の系譜と伝承は国家の基本である。だから今、正しい記録を作り後世に伝えよう」と言い、稗田阿禮(ひえだのあれ)という28歳の聡明で記憶力抜群の若者に、天皇家の歴史や各部族に伝わる伝承を記憶するよう命じた。しかし時世が変わってまだ完成していない』

つまり天武天皇が発案し情報収集作業に入ったが、彼の時代には完成していないことを述べているのです。

・・・つづく

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