もしも古事記の神々が人間だったら・・・【14】

スセリヒメ≪その一≫

スセリヒメ

古事記には、「オオナムジが、因幡の姫の婚約者に選ばれた」ことに嫉妬した八十(やそ)神達が、出雲へ帰る途中の「伯耆の手間(てま)」で、オオナムジを殺したと書いてあります。
なぜかしらオオナムジの母親が「息子殺害」を知り、二人の女神の手を借りて生き返らせます。
現在赤猪岩(あかいいわ)神社があるところが、その現場であると伝えられています。

オオナムジが生きていることを知った八十神達は、今度は言葉巧みに山の中に誘い込み、そこでもう一度殺します。
このときも母親が駆けつけ、今度はひとりで生き返らせます。
二度目の殺害現場の地名はなく、「山」と書かれているだけです。

実は、鳥取県の日南町上石見の大石見(おおいわみ)神社に、二度目の殺害現場であるのとお話しが残されています。
赤猪岩神社のある場所から、中国山地へ分け入った頂上辺りの盆地ですから、「山の中に誘い込んで殺す」場所としてはぴったりです。

母親は息子に「ここにいれば滅ぼされてしまう=生き返ることができなくなる」と言い、木の国のオオヤビコのところへ行かせます。

オオヤビコは、イザナミとイザナギの神生みのところで六番目に生まれた、家屋を司ると言われている神様で、スサノヲの兄弟ということにもなっています。
母親は、「スサノヲの兄弟の所なら大丈夫」と思ったのかもしれませんが、常識的には初めから強い方へ行かせるのではなでしょうか。
私は、この部分は「何事にも手順がある」ということを言おうとしているのかなと理解しています。
案の定、オオヤビコのところへも、八十神達は襲ってきます。
「スサノヲは怖いが、たかが家の守り神程度なら平気だ」といった感じでしょうか。
自分では無理だと判断したオオヤビコは
「スサノヲのいる根の堅州国に行け、きっと良い案を出してくれる」と言います。

ここで場面は変わります。
オオナムジがスサノヲの館の前に立っているように書かれています。
そこへスサノヲの娘のスセリ姫が現れます。
「出で見て、目合(まぐわい)して相婚(あ)ひまして」と書かれています。
「館から出てきたスセリ姫は、オオナムジを見るなり一目惚れしてしまい、その場で合体して=夫婦になった」ということです。

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