古事記に登場する神々の謎【7】大屋毘古神

最初に生まれたグループは家屋に関する神々のようです。
その中で注目しておいて頂きたいのが
大屋毘古神(おほやびこのかみ)です。

ずっとあとになりますが、この神のところにヤソガミ達に追われたオホナムヂ(後のオオクニヌシ)が逃げ込みます。
これによりこの神の名前が有名になるのです。

しかし、守りきることができず木の股をくぐって逃がします。
その現場が「木の国」とあり、一般的には「紀の国」と解釈しています。

この流れでは、大屋毘古神は今の和歌山県の山中にいたことになります。
ところが大屋毘古神=五十猛命(いたけるのみこと)説もあります。

五十猛命とはスサノヲの息子ですから、大屋毘古神もスサノヲの息子です。
しかしこの時点ではスサノヲはまだ出現していません。
現れていないスサノヲの息子が先に紹介されている・・・どういうことなのでしょうか?

私は、オホナムヂが逃げ込んだのは五十猛命のところだったと考えています。
そして彼がいたのは、現在の島根県・鳥取県・広島県・岡山県の県境が接する中国山地の分水嶺となる一帯だったのではないでしょうか。

そこは非常に山深いところ、つまり木の国なのです。
ですが物語の舞台をその辺りとすると、お話が狭いエリア内だけになり壮大な展開が感じられません。
そこで編者(と言っても太安万侶ではなく、本居宣長)は、「木の国」を「紀の国」と解釈するよう誘導すべく、五十猛命を大屋毘古神にしたのではないでしょうか。

なにしろ本居宣長の出身地は紀の国の隣の伊勢ですから、自身の郷里にぐっと近づけたのかもしれません。
…つづく

カテゴリー: 古事記に登場する神々の謎 タグ: , , , , , , , パーマリンク

古事記に登場する神々の謎【7】大屋毘古神 への5件のフィードバック

  1. スセリ のコメント:

    古事記おじさま、初めまして!
    私はスサノオ様をお慕い尊敬してやまない小さき者です。
    五十猛様…
    五十猛様の母様はどなたなのでしょう…
    稲田姫様ではないような…
    五十猛様は、古代朝鮮半島南部の王だったのかな…
    古事記おじさまの書かれた本、読ませていただきました
    おじ様熱い!神々様に対しての熱い思いに心打たれました!
    スセリ姫様や、向津姫様の最後の台詞…
    五十猛様の母様…
    ご存知であれば、教えて下さいませ
    応援しております!
    今は神々様になられた、私達のご先祖様がたが命をかけて築き上げた…日の本
    誇りを持って、学び、次に繋げたいです。

  2. スセリ のコメント:

    度々、お邪魔致します!
    古事記おじさま、ひとつ書き忘れておりました…
    私は、スサノオ様も五十猛も日の本生まれの日の本人だと思っております。
    その時代、「日の本」とは呼ばれてなかったでしょうし、「わ国」と呼ばれてたのかも真実は誰も知るよしもございませんが…
    古事記おじさま、「神々の声」月の巻…という緒方繁隆さんが書かれた本をご存知ですか?
    古事記おじさまが読まれてどのようにお感じになるか知りたいな…
    もっともっと多くの日本人が、古事記おじさまみたいに愛する自分たちの 国の神々様方に少しでも関心を持ち、大切な心を見つけて欲しいなって思います。
    出雲は大大好きな場所で度々訪れさせて頂いております。
    小さな神社さんに訪れる度、そこを綺麗にお掃除されている地元の方とそこに大切にお祭りされていらっしゃる神々についてお話しをお聞きしたりさせてもらうのが嬉しくて…
    大切にされておられる神々様の笑顔が見えそうで幸せな気持ちになります。
    いつか、古事記おじさまのお話しもお聞きしたいな~
    長々とお邪魔いたしました!!
    これからもブログ、楽しみ読ませていただきますね

  3. 古事記おじさん のコメント:

    >スセリさん
    熱いコメントありがとうございます。
    本もお読みくださり、ありがとうございました。
    ご質問に関して、疑問をお持ちの方が他にもいらっしゃると思いますので、次回11月5日の記事にて述べたいと思います。

  4. 古事記おじさん のコメント:

    >スセリさん
    再度のコメントありがとうございます。

    「神々の声」月の巻ですが、寡聞にして存じませんでした。
    機会があったら読んでみようと思います。

    出雲によくお越しになるとのことですが、11月4日(日)と23日(金・祝)、私がガイドを務めますバスツアーがあります。
    詳細:http://www.kojinazo.net/tour/hinomaru2.pdf
    また、11月15日(木)には、米子市淀江町の「ゆめ温泉」にて座談会があります。
    詳しくお知りになりたければ、ホテルアジェンダ内古代出雲王国研究会(電話:0859-34-7221)までお問い合わせください。

    今後ともよろしくお願いします。

  5. スセリ のコメント:

    古事記おじさま!!
    御返事ありがとうございます!
    ドキドキとっても嬉しく読ませて頂きました!!
    ありがとうございます!次回の記事、楽しみにしてまーす!
    古事記おじさまのツアー、以前から存じておりました。 行きたいな~って思っていたんですよ~
    ありがとうございます。なかなか、小学六年生の神様大好きな娘を持つ、自営業を営んでおりますスセリですので、月に連休は二度しかなく、もっぱら出雲へ一泊旅は、娘の夏休み中がここ数年のお決まりとなっております。
    いつか必ずご縁が繋がりますように!
    古事記おじさまには、い~っぱいお聞きしたいこと山盛りです(笑)
    古事記おじさまとおなじく、私も何の宗教人でもなく、ただ、全てに…空や風やお日様や木々や…に神様があるって感じて生きてる、何の凄い力も持たない只の妻であり母です。
    ただ、大好きな私の国をつくって下さった今は神々様になられたご先祖様が大好きな初期のオバサンです(笑)
    なかなか…神様の話も熱く語れるのは(神々様を語るとまだまだ一般的には変な宗教?って思われがち…)オオナムチ様が大好きな主人と、大年様とスセリ姫様が大好きなちびっこの我が娘ですので、おじさまのブログをただ読んでるだけでしたが、勇気を出してコメントしたしだいでございます。
    長年(と言いましてもここ6年程からです)、自分で学んだり調べたりしても大好きな五十猛様の幼少時代が解らず(真実など今を生きる私達に知るよしもないけど)気になって気になって…(興味本位ではなく、神々様の心と言うか…少しでも思いを知る事が出来たら、お祭りされているお社にご挨拶に行かせて頂いた時、神々様に心から感謝と思いが伝わるような気がして)
    大年様やニギハヤヒ様やミナカタ様や…スセリ姫様や…
    お忙しい古事記おじさまに熱すぎるコメント、申し訳ないな…と思いながら、神々様のお話しが出来る、学ばせて頂けるおじさまに図々しくも御礼のコメントにしては長々すぎる暑苦しいコメントをまたしてしまいました(汗)
    古事記おじさま!!お身体にお気をつけて元気モリモリで、私のような者や沢山の皆にお話し沢山してくださいね!
    読んで下さりありがとうございました!!

古事記おじさん へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。