根の国(ねのくに)へと逃げてきたオオナムチは、スサノヲの館を訪れます。
応対に出たのは娘のスセリ姫でした。
目が合った瞬間、彼女はオオナムチに一目惚れしちゃったのだそうです。
ヤガミ姫に選ばれ、スセリ姫に惚れられ、大国主(おおくにぬし)って、一体どんないい男だったんでしょうね。
スサノヲは、娘が惚れ込んだ男を試します。
オオナムチの力ではどうにもならない難問ばかりでした。
しかしスセリ姫がこっそり手を貸し、オールクリア。
おまけにスサノヲのお宝を盗んで駆け落ちまでするのです。
スサノヲは、娘可愛さもあったのでしょう、
オオナムチを後継者として認め、大国主を名乗らせます。
ここからオオナムチは大国主という名前になるのです。
大国主になったオオナムチは、因幡(いなば)で婚約したヤガミ姫を呼び寄せます。
やがて彼女は娘を産みますが、正妻スセリ姫を恐れ、生まれたばかりの赤子を木の股(また)に挟み置いて里に帰ってしまいます。
その場所が、島根県斐川町(ひかわちょう)の御井(みい)神社です。
御井(みい)神社
島根県簸川郡斐川町直江
そのあと大国主はプレイボーイぶりを発揮し、浮名を流しますが、国づくりの仕事もちゃんとこなします。
とはいっても「国づくり」ですから、ひとりでは無理です。
彼のお手伝いをしたのがスクナヒコナですが、なぜか完成前に常世(とこよ)の国へと飛び去ってしまいました。
その飛び去った場所が、鳥取県米子市彦名町(よなごしひこなちょう)の「粟嶋(あわしま)神社」です。
粟嶋(あわしま)神社
鳥取県米子市彦名町
そんなこんなでいろいろありまして、大国主がつくった「葦原中国(あしはらのなかつくに)」は、緑あふれる豊かな様相を見せ始めます。
「豊葦原の瑞穂の国(とよあしはらのみずほのくに)」とか呼ばれてたらしいから、稲が豊かに実る、食べ物に困らない国だったみたいです。
これを知ったアマテラス、
「あの国はすばらしいわ よし、息子にあげちゃお。」
と勝手に決めてしまいます。ほんと身勝手。
取る方はいいでしょうが取られる方はたまったものじゃありません。
さて、大国主がつくり上げた国の行く末やいかに?
まず、アマテラスの息子本人を行かせますが、追い返されます。
そこで次々と遣いの者を送り込みますが、そう簡単に国は奪えません。
とうとう武力行使となり、その責任者が武闘派タケミカヅチ、接触場所は出雲市大社町(いずもしたいしゃちょう)の「稲佐の浜(いなさのはま)」です。
稲佐の浜(いなさのはま)
島根県出雲市大社町
タケミカヅチは、まず大国主に脅しをかけます。
ところが彼は、決断を息子のコトシロヌシに委ねました。
そこでコトシロヌシを呼び寄せ、返事を迫ります。
コトシロヌシは、「いいですよ。この国はさしあげましょう。」と答えると、乗っていた船を揺らして身を隠してしまいました。
もう一人の息子タケミナカタは腕に自信があり、タケミカヅチに挑みかかります。
が、あっさり敗退、諏訪(すわ)まで逃げて行ってしまいました。
タケミカヅチは、
「息子どもは降参したぞ。 で、お前は、どうなんだ!?」
と、もう一度大国主に確認します。
「息子たちと同じです、この国全てを差し上げます。私に、皆さんのお国にあるような宮殿を建てて下されば、引退します。」ということで、建ててもらった宮殿が出雲大社(いずもたいしゃ)なのです。
出雲大社(いずもたいしゃ)
島根県出雲市大社町
ここまでで山陰を舞台としたお話は終わります。
古事記の舞台は、このあと九州に移ります。
おしまい
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