特集:今こそ古事記を読もう【其の一】

2012年3月13日が、古事記が誕生してからちょうど1300年の記念日だそうです。

古事記は天武(てんむ)天皇が編纂を命じ、元明(げんめい)天皇に献上されました。

これまでに、山陰に残る古事記の舞台を紹介しましたが、古事記の解釈に関してはなるべく触れないようにしてきました。
その理由は、古事記は日本最古の書物であり、読む人の立場によって解釈の仕方が様々であるからです。

宗教的立場の方にとっては「教典」ですから、素人のいい加減な解釈に不快感を抱かれる可能性があります。

学問的立場の方にとっては、長い歴史を持つ学問的解釈にそぐわない読み方は、学者のプライドをないがしろにするものと映る可能性があります。

とは言いましても出版されており、誰でも自由に手にできますので、解釈のしかたを強制することはできません。

私は、自由な発想で読める環境が整いつつある現代こそ、日本人は古事記を読むべきと考えています。


太平洋戦争が終わるまで、古事記を自由な発想で読むことはできませんでした。
このような環境を作ったのは、明治の維新政府です。
それまでの徳川幕府政権下では、天皇家は将軍任命権を持つ我が国最高権威でしたが、最高権力者ではありませんでした。

古事記が一般の目に触れるようになったのは、本居宣長が古事記伝を記したことによりますが、これについてウィキペディアには以下のように書かれています。

医学の修行のために上洛していた宣長は、1756年(宝暦6年)、27歳の時に店頭で『先代旧事本紀』とともに『古事記』の巻を購入した。

この頃、宣長は『日本書紀』に目を通しており、賀茂真淵の論考に出会って日本の古道に触れるようになっていく。

宣長が本格的に『古事記』研究に進むことを決意したのは、1763年(宝暦13年)の、真淵との出会いを果たした頃である。

その翌年、1764年(宝暦14年)から『古事記伝』を起筆し、1798年(寛政10年)まで35年かけて成立した。

『古事記伝』は、宣長時代に存在していた『古事記』の写本を相互に校合し、諸写本の異同を厳密に校訂した上で本文を構築する書誌学的手法により執筆されている。

さらに古語の訓を附し、その後に詳細な註釈を加えるという構成になっている。

宣長は『古事記』の註釈をする中で古代人の生き方考え方の中に連綿と流れる精神性、即ち『道』の存在に気付き、この『道』を指し示すことにより日本の神代を尊ぶ国学として確立させた。

宣長の提唱する道とは『古道』のことである。

では『古道』とはどのようなものなのでしょうか?

これもウィキペディアを引用しますが、分かり易く要約します。

古道とは何か。それは天地万国を通じて、ただ一筋の誠の道で、我が国にのみ正しく伝わっているが外国では最早伝えられてはいない。

道とはいうが、人間が見い出した道理道徳の類ではなく、我が国古典に伝えられた神代の事実である。

万国に勝る我が国のみに伝わる「古の言伝え」こそが古道の根拠である。

それを伝えるのが古事記・日本書紀の二書であるが、殊に古事記に正しく伝わった。

日本書紀に比べて古事記を重んじる理由は、古事記が古語の純粋を以て「言い伝え」をそのままに記しているからである。

ところが「言い伝え」の不正確さへの批判があったようで、それに対しては次にように書いてあります。

文字のない時代には、文字がない故に「いい加減な言い伝えではなく、正確に伝えている」

宣長は『古事記』の記述を真実であったとし、古事記を貫く「やまとごころ」を是として、儒教的な「からごころ」を否としています。

つまり尊皇攘夷発想です。

宣長が『古事記』を高く評価したことにより、『古事記』に対する評価が大きく変わります。
正史の『日本書紀』と違ってほとんど無視されていた古事記が、神典の評価を受けるようになったのです。

現在我々が手にする『古事記』は、宣長の古事記伝を基本としています。
つまり宣長の目を通した『古事記』といえます。

これに対し、「原本は違っているのではないか」との見方もありますが、宣長が手にしていた原本類を読まないことには分かりません。

しかしそれをすることができない今は、入手可能な『古事記』を読むしかありません。
ですからお好きな『古事記』を読み、自分なりの解釈をしていただけばいいと思います。

ところで、『古事記』はなぜ編纂されたのでしょう?

次回から、それを考えてみましょう。

今こそ古事記を読もう【其の二】へづつく・・・

【特集】今こそ古事記を読もう
https://www.kojinazo.net/?p=41

■今こそ古事記を読もう!【其の一】
 https://www.kojinazo.net/?page_id=1372

■今こそ古事記を読もう!【其の二】
 https://www.kojinazo.net/?page_id=1374

■今こそ古事記を読もう!【其の三】
 https://www.kojinazo.net/?page_id=1378

■今こそ古事記を読もう!【其の四】
 https://www.kojinazo.net/?page_id=1381


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