オオクニヌシ「根の国訪問」【5】

スサノヲは、従順に言われたことをするオオナムチを「なかなか可愛い奴ではないか」と思いながらまどろみます。

ところがどっこいオオナムチはそれほど甘くはありません。
眠ったスサノヲの髪の毛を天井の垂木(たるき)に結わえ付けた上で入口の戸を大岩で塞ぎ、スセリ姫を背負うと刀と弓それになぜか琴を持って逃げ出したのです。

その時琴が木に触れて大きな音を発します。その音で目を覚ましたスサノヲは追いかけようとしますが、髪をほどくのに手間取ります。
スサノヲが根の堅州国の出口である黄泉比良坂まで来た時、二人はすでに遙か彼方でした。

そこで大声で呼びかけます。
「お前が持ちだした刀と弓で敵対する者を追い払い、お前が大国主神となり、我が娘スセリ姫を正妻として、宇迦(うか)の山(現在出雲大社がある辺りの山並み)の麓に立派な宮殿を建てて暮らせ」

この時からオオナムチは、『大国主』つまり出雲の王となります。

スサノヲの呼びかけは、オオナムチを王の後継者として承認したことを意味するのですが、三条件を示しています。

第一が、『武力』による敵対者の制圧。
第二が、スセリ姫を正妻にすることによる『正統性』。
第三が、宮殿造営による『拠点』の確保。

この記述のあと、いきなり因幡の白兎のところで婚約したヤガミ姫の話題に転じます。

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