もしも古事記の神々が人間だったら・・・【7】

アマテラス ≪その四≫

第二交渉のワカヒコはタカミムスヒに殺されます。
もはや交渉人では問題解決できないということで「アマテラス大御神、詔(の)りたまひしく=アマテラスが仰せになった」と書かれています。
ここではタカミムスヒの名はなく、アマテラス一人です。
これは命令ではなく、単なる問いかけですからアマテラスだけでよかったのでしょう。
結論は、軍神タケミカヅチの派遣、話し合いではなく軍事力を使うということです。

タケミカヅチは稲佐の浜で大国主に国譲りを求めますが、その時のタケミカヅチの口上として「アマテラス大御神、タカミムスヒの神の命を受けて」と書かれています。
再び二人になるのですが、アマテラスの名を先に出しています。
タケミカヅチは高天原の重役ではありませんから、アマテラスの立場の微妙な変化を知る立場ではなかったのでしょう。ですから自然にトップであるアマテラスの名を先に出したと考えられます。

以上述べてきましたアマテラスの扱いの変化に対する私の結論は、
『アマテラスは、部族生き残りを賭けた戦いの象徴に祭りあげられた女王』です。

『象徴』と言い切る理由は、天孫降臨です。

この場面でも「アマテラス大御神とタカミムスヒの神が、アメノオシホミミに『葦原中国は平定されたので降臨して治めよ』と仰せになった」と二人は完全に同列扱いです。
しかし、降臨して葦原中国の支配者となるのはアメノオシホミミの子=アマテラスの孫のニニギで、実質最高権力者と思えるタカミムスヒや実質意志決定者のオモヒカネの血統ではありません。
これは、タカミムスヒやオモヒカネの一族では、高天原族の合意が得られなかった。
そしてこちらの方が重要と思えますが、葦原中国に住む部族達も納得しなかったからではないでしょうか。

ではなぜ葦原中国の部族達が、アマテラスの直系でなければ納得しなかったのか?
それは、あとでご紹介しますスサノヲとの関係ではないかと考えています。

・・・つづく

カテゴリー: 連載を読む, もしも古事記の神々が人間だったら・・・ タグ: , , , , , , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。